地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、川崎市麻生区の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

川崎市麻生区の地域情報サイト「まいぷれ」

Cute Movies

不能犯

見つめられたら、最後。

2018年2月1日(木)全国ロードショー<br>(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
2018年2月1日(木)全国ロードショー
(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
不能犯

原作:『不能犯』(集英社「グランドジャンプ」連載 原作:宮月新/画:神崎裕也)
監督:白石晃士
脚本:山岡潤平、白石晃士

ストーリー

都会で次々と起きる変死事件。いずれの被害者も、検死をしても、何一つとして証拠が出てこない不可解な状況で、唯一の共通点は事件現場で必ず目撃される黒スーツの男。その名は宇相吹正(松坂桃李)。
彼こそがSNSで噂の〈電話ボックスの男〉だった。とある電話ボックスに、殺人の依頼を残しておくと、どこからともなく彼が現れ、ターゲットを確実に死に至らしめるという。その死因はどれも病死や自殺に事故――
宇相吹の犯行は、すべて立件不可能な犯罪、〈不能犯〉だった。今日も、愛憎や嫉妬、欲望に塗れた人々が彼のもとにやってくる。そんな中、警察はようやく宇相吹の身柄を確保し、任意で取り調べを始める。
多田(沢尻エリカ)と部下の百々瀬(新田真剣佑)が見守る中、宇相吹を前に上司の夜目(矢田亜希子)が取り調べを始めるが、次第に夜目の様子がおかしくなり、最終的に宇相吹は解放される。
彼の正体とは一体―。そして、真の目的とは―。

記者の見どころ

本作『不能犯』は、異色の同名青年向けコミックが原作となる作品だ。異色のダークヒーロー作品とも言える原作が『貞子VS伽椰子』の白石晃士監督により、新感覚のスリラー作品へと昇華された!

「人生でここまで口角を上げたことはない」と言う松坂桃李の怪演が印象に残る。右目を髪で覆い、目を見つめるだけで相手の心を操るという悪魔のような男・宇相吹を演じた。原作にあった宇相吹の人間らしい描写がとことんカットされ、松坂桃李本人の持つ優しいイメージと本作でのダークな描写が面白いバランスを見せる。

原作と比べると、エロ要素が控えめになった印象だ。それとは対照的に、宇相吹に心を支配されたものが見る幻覚が、実写化されたことによってよりエゲツなく視覚神経に飛び込んでくる。直接的な描写(幻覚)だけではなく、それに付随する暗示的な映像に心がかき乱されていく。

刺激的な映像に弱い方にはオススメできない、新感覚のスリラー・エンタテインメントだ。異色のダークヒーローと愚かな人間、そして彼を捉えられない警察。バラバラに思えた事件がつながりをみせはじめた先にある、彼らの行方は。

Text by EISUKE