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かわさきマイスター紹介

製菓技能士 横溝 春雄さん

旬の食材を活かし、日本人の嗜好にあわせた洋菓子づくりを工夫

製菓技能士・横溝春雄さんは川崎北部の新百合ヶ丘で人気のウィーン菓子工房「リリエンベルグ」のオーナー・パティシエです。5年にわたる欧州での修業で習得した洋菓子作りの技術・配合を尊重しつつ、旬の食材を活かした日本人の嗜好に合わせた味作りに工夫を凝らしています。おいしいできたてのお菓子を食べてもらうため、作り置きをしない姿勢は、地元だけでなく全国の甘党をひきつけています。漫画『美味しんぼ』44巻に登場している、川崎では知らない人は居ないほど、全国的に有名な実力派のマイスターです。
プロフィール
横溝 春雄 (よこみぞ はるお)さん

埼玉県出身。
東京・神田の洋菓子店を経て、1972年渡欧。ドイツ、スイス、オーストリアなどで約5年間修業。帰国後、1977年から1988年、「新宿中村屋グロリエッテ」のシェフを務めた後、新百合ヶ丘に1988年にウィーン菓子工房「リリエンベルグ」をオープン。
平成22年度認定かわさきマイスター 製菓技術士
社団法人 日本洋菓子協会連合会常任理事
麻生区在住 有限会社リリエンベルグ経営
これは、横溝さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。
横溝さんの技能をマンガで紹介しているページもぜひご覧ください。
「マンガでわかる!かわさきマイスター」横溝春雄さん(PDFファイル)

横溝さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

実家がパン屋で毎日、パンや菓子を作る親の姿を見て育ちました。子どもの頃から食べ物というものづくりの世界に浸かってきたわけで、将来は会社勤めより、ものを作る職業、それも食べ物を作る仕事に就きたいと思っていました。特にケーキが好きだったので、自分はケーキ屋になると決めていました。高校を出てすぐに、この道に入ったのですが、育ちからいって自然に入ったという感じですね。兄弟が4人いて全員、パン屋か菓子屋なんですよ。長男は実家を継いでパン屋、次男はケーキ屋、そして三男の私、四男の弟もパン屋をやっています。父や母が一生懸命にパンや菓子を作るのを見て、そしてそれを食べて育ちましたから、親の影響というのは大きいですね。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

ケーキ屋さんとしてプライドを感じるのは、人生の節目、節目の舞台でケーキが登場して、人々から感謝されることです。まずは赤ちゃんが生まれて「出産おめでとう」から始まり、その後も1年1年の誕生日のお祝い、そして入園・入学、卒園・卒業のお祝い、大きくなって成人式や結婚式のお祝いや引き出物、そして還暦のお祝い、銀婚式、金婚式などに至る長い人の一生に於ける慶事に関わるのがケーキです。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか? (他の道に行こうと思わなかったですか?)

修業時代は辛いことも多かったですが、自分の作ったお菓子がお客様から綺麗とか美味しいと感謝されることにより自分の仕事に誇りを持てました。
誕生日・入学式・卒業式などはケーキの前で「おめでとう」と言われるお祝い事ですが、陰ながらパティシエが参加できます。それがお菓子屋の幸せです。

どういうところでご苦労なさいましたか?

ドイツで修業していた頃です。東西冷戦下で、東ドイツの中にあった西ベルリンに居たのですが、第2次世界大戦の爪あとを残したままの街で、部屋には銃弾の後があり、重い空気が漂っていました。そのような雰囲気の中、仕事を失敗してしまい、ノイローゼになりそうなほどでした。その状態を救ってくれたのは当時の修業先のチーフでした。沢山失敗するのは何故か、1日横に居てずっと見てくれました。その結果、問題点が分かり、それ以降、失敗することはなくなりました。
人間には我慢の限界があります。これまでガミガミ怒っていましたが、ベルリンの体験から怒った人間には美味しい洋菓子は作れないと悟りました。
失敗の連続で追い詰められると、辞めそうになったり、精神的にくじけそうになったりします。でも、耐えて、頑張っていけるのは、自分で決めたことであり、後戻りできないからです。そして、きっと、この後は良いことがあるというプラス思考も重要です。
仕事の失敗で先輩に怒られたり、殴られたりしても、先輩から指導してもらっていると感じることです。そして、会社ではなく、自分のために頑張ることです。すると、会社は見てくれますし、怒っていた先輩も自分が独立したときは仲間として見てくれます。

横溝さん、そしてお店のこだわりを教えて下さい。

「リリエンベルグ」の誇りは鮮度の良さです。ケーキは時間との勝負ですから、朝焼いたものをショーケースに並べ、作りたてのものをその日のうちに売り切るようにしています。これは、この店をつくった時、最初からのこだわりでした。焼き菓子でも日持ちしないものと認識して、常に作りたてを提供しています。その日に焼いたプリンは翌日に持ち越して販売することはしません。フルーツなどの素材の仕入れも新鮮さを第一にしています。
作りたての菓子を作り続け、売り続けるというのは、なかなか難しいことです。私の日本での修業時代には洋菓子を冷凍して作りおきし、販売することはあまり多くありませんでした。ところが、ヨーロッパから帰ってみると冷凍が当たり前のようになっていました。少しでも冷凍しないと経営が間に合わないのです。世間には冷凍することが条件のようなレシピがいっぱいです。
私は菓子作りのこだわりを持ち続け、お客様への気持ちを第一にしていきたいと考えています。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください

食べ物づくりは、作るというより「育てる」という気持ちが強く働く仕事です。特にパン作りに携わる職人は、ほんとに自分の子どもを育てるように熱く語ります。洋菓子作りも自分で考えて作り出す、想像力を発揮できる職業です。材料を集め、配合して自分で味を育てる。文字通り、新しい創作を考えることができる魅力にあふれています。日本古来の和菓子と違って洋菓子は外国、特にヨーロッパから伝わったものです。これから、自分たちが日本の和菓子のように日本に根付くような新しい洋菓子を創作するという夢が潜んでいます。日本の創作菓子、それがいつのまにか日本のお菓子になる。そんな可能性もあります。それはとても楽しみなことです。
配合というのは、あくまでもたたき台。味を見ながら、もっと砂糖を入れようとか、リンゴのブランデーを加えてみようとか、入れるタイミングを変えてみようとか、自分で味をこしらえていかなければなりません。

かわさきマイスターに認定されて良かった点を教えて下さい

ものづくりの職人として、パティシエという職業がいかに人に感謝され、人を笑顔にすることができるかを、市民に広く分かりやすく紹介する機会が増えたのがいいですね。特に川崎市という力強いバックアップがあって講習会や市民向けの教室など、たくさんのイベントに参加でき、これまで一般的にはあまり知られなかったものづくりの仕事が分かりやすく披露されるのは素晴しいことです。またボランティア活動を通じて、マイスターとして社会にいかに貢献できるかという投げかけができるのもいい点です。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

店から独立した弟子は何人も居ます。独立して開店する際は仲間を派遣するなどして応援しています。また、日本洋菓子協会連合会の技術指導委員を務め、講習会の開催やジャパンケーキショーでのコンクール開催なども行っています。
リリエンベルグの中でパティシエを目指す職人に対しては、私の考えを押し付けるのでなく、あめ細工など他の菓子作りのシェフも呼んで幅広く知識・能力を培っていくことに努めています。一昨年、ジャパンケーキショーのコンクールでは当店の従業員が最高峰のグランプリを獲得し、金メダルを授与されたのはとても嬉しかったですね。何日も夜中まで特訓した成果ですから。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

作る人が健康でないと人を喜ばす料理・お菓子は作れません。まず、食に対して好奇心のある人でないといけません。若いうちは苦労し、経験を積むことが、後々の職人としての成長につながります。いっぱい失敗すれば、失敗した分だけ新しい発見につながります。一度、決心をしたら、3年は頑張ってほしいです。得ようとする気持ちがあれば、どんな人からも学べるはずです。学ぼうというプラス思考が道を開き、そして、周囲も応援してくれるものです。

最後にこれからの活動について教えてください

これからもパティシエの素晴らしさを講習会などで伝えていきたいです。
また、後継者育成やボランティアなど川崎市の活動にも積極的に参加していきたいです。

どうもありがとうございました。
ベテランパティシェ・横溝さんは和菓子も大好きだそうで、和の食材も積極的に使っています。その一つが「和三盆糖」。ひんぱんに使っている四国・三谷精糖羽根さぬき本舗の製品は風味、香りが全然違うといい、横溝さんが作るスウィーツの大きな隠し味になっているようです。
【問合せ先】  
ウィーン菓子工房 「リリエンベルグ」

■所在地   麻生区上麻生4-18-17
■電話    044-966-7511
■FAX         044-954-0115
■営業時間  10:00~18:00
■休み    第1・3月曜日、火曜日
■HP          http://www.lilienberg.jp/