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かわさきマイスター紹介

円筒研削技能士 竹内 三郎さん

超ミクロの世界に挑戦。活躍の舞台、内外に広がる

本日お話を伺ったのは平成17年度にかわさきマイスターに認定された竹内三郎さんです。竹内さんは、一千分の1ミリメートルという超ミクロの円筒研削の達人で、精密金型加工の工場を経営しています。技能は一人だけのものではなく、互いに切磋琢磨しながらものづくりの腕を磨いていくことが大切だと説き、ベトナムにも工場を建設して現地の優れた技術者を採用しています。福祉活動にも熱心で、障害者や高齢者に役立つ製品開発にも力を入れています。
プロフィール
竹内 三郎さん

円筒研削盤により、タングステン・コバルト等の超硬合金や鋼鉄等を公差±0.001mm以内に加工する技能を保持している職人です。
旋盤、平面研削盤、円筒研削盤、工作機械メーカーと共同開発したNC付のスライス機械等を使いこなし、細密でかつ精密な部品である自動車部品製作に関わるゲージ、治具、工具や電子部品に関わる精密金型部品などを作っています。
川崎区在住。角丸金属有限会社代表。
これは、竹内さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

竹内さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

 家内の父親の跡を継いで、私は2代目です。結婚する前はある電気メーカーの社員で都内のデパートの電気製品売り場に派遣され、商品の販売をしていました。同じ売り場にいた家内はデパートの正社員でしたが、たまたまお父さんが怪我をされ見舞いに行った時、工場の雰囲気がいかにも町工場風で暗かったものですから、何とか明るくしようとやっているうちに親父さんに見込まれてしまったのです。もともと電気屋ですから、照明関係はお手のもので31歳の時でしたね、結婚して跡を継いだのは。ものづくりはもともと好きですし、下町の出身なので、本当は町の小さな電気屋さんをやりたかったのですが。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

最新の計測器で測定する魔法の手。
最新の計測器で測定する魔法の手。
弊社が扱う製品はミクロン単位(千分の1ミリメートル)の寸法で納めなければならないものばかりですから、精度を高める技術がだんだんレベルアップしていくに従って、その目標を達成するのが楽しいですね。1つひとつ難題をクリアしながら腕を上げていくわけです。測微計(マイクロメーター)と呼ばれるサブミクロン(1万分の1ミリメートル)のゲージを使って、ミクロン単位の計測をします。
平面加工機を操作する竹内さん。
平面加工機を操作する竹内さん。
工場の基本的な仕事の流れは昔と変わっていませんが、いま新しい事業として力を入れているのは福祉関係の製品開発です。その一例が寒冷地に住むお年寄りの人たちへの、アイスピック(ツメ)の付いた滑り止め用の杖です。雪や氷で固まった地面に突き立てるツメの出し入れがワンタッチで出来る仕掛けに当社の独特な精密加工技術が応用されています。雪面や氷上を安全に歩行でき、ツメを収納すれば普通のステッキとして使用できます。現在ベトナムの当社直営工場で量産準備中で、来年11月ごろには市販できる見込みです。

長年、継続して技能研鏡に努めることが出来たのはなぜですか?

精密研磨に威力を発揮する最新鋭の平面加工機。
精密研磨に威力を発揮する最新鋭の平面加工機。
マイスターの称号をいただいていますが、まだまだ腕を磨かなければならないことはたくさんあります。技能とは底が深いものなので、極めることは難しく、常に継続して研鑽に励むことが欠かせません。それと若い人の育成ですね。昔のように教えないで見させるだけで職人にするには10年はかかりますが、きちんと教育すれば3年で1人前になります。私の場合は、やらせてみて、指導して、要するに長期でやることを短期でまとめることができるのです。もちろん付いてないとダメですがね。見て覚え、後は自分で考える。それにプラスアルファが付いてきます。うちの場合、そのプラスアルプスというのは外で教育を受けるということです。外から新しいものを入れないと、社内以上のレベルにはならないわけです。

苦労したことはありますか?

円筒研削機を操作する竹内さん。手の感触で微妙な調整を行います。
円筒研削機を操作する竹内さん。手の感触で微妙な調整を行います。
ある大手メーカーのスーパーコンピューター立ち上げの時に、基板となるセラミック製シートに埋め込む1本90ミクロンという超ミクロのピンを作ってくれという注文にはだいぶ苦労しました。30センチ四方くらいの盤に10万基分ですよ。いったんお断りしたのですが、どうしても作ってくれということで工場の総力をあげて完成しました。もう20年ほど前の話ですが、正直言って、これがなかったら湾岸戦争(1991年)で多国籍軍は負けていましたよ。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能は何ですか?

円筒研削機を使い、ミクロン以下の研磨に自信。
円筒研削機を使い、ミクロン以下の研磨に自信。
やはり円筒研磨で寸法を入れる技術ですね。ミクロン以下の研磨に自信を持っています。それでマイスターの称号をいただいたわけですが、いくら機械で磨いても完全な真ん丸ではなく、ミクロン以下の楕円が出ますので、それを最後は手で磨いて修正する必要があります。熟練すればできることで、長年の経験とあとは感ですね。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

放電加工機。
放電加工機。
それを利用して営業するということはないですが、市が主催するイベントなどでマイスターが紹介されて優れた技能が市民の皆さんに広く認識される効果は高いですね。もともと日本人はものづくりが好きなので、今の小・中学生たちも展示会などで私のところにやってきて興味津々と真剣な眼差しで実演を見てくれていることがうれしいですね。実際、職人さんの技を見ている子どもたちから「僕もやってみたいな」と思っている雰囲気が伝わってきます。マイスター制度は技能の伝承や後継者育成に大変役立っていると思います。うちの工場でも私がマイスターに認定されたことで、若い従業員たちには大きな刺激になっているようですから。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

顕微鏡を使って研磨の検査。
顕微鏡を使って研磨の検査。
素材が変化していく工程がなんとも言えない魅力です。ゼロからものを作り上げる(製品を作り上げる)ことで自分の存在が品物に写るという感じですね。体調が悪かったり嫌なことがあったりすると、寸法が荒れるなど製品にもろに影響が出ます。ミクロン単位になると呼吸を止めるのですが、そこで乱れてしまうのですね。

今後の活動、目標を教えて下さい

私が持っている技術とか知恵を若い人たちに伝えていきたいです。よく、名人気質の人で自分の技能を隠すというようなこともありますが、私は自分の技術をみんなに見てもらって、乗り越えてもらいたいですね。そこに私自身のやりがいも感じます。

後継者を育成するため、具体的にいま何に取り組まれていらっしゃいますか?

後継者の1人。
後継者の1人。
現場では、すでに私の代わりに仕事をこなしてもらっている従業員が一人おりまして、彼はもう5年のキャリアがあって後継者として安心して任せています。もう一人、家業に入ってくれることを願っているのが私の息子です。いまはコンピューターを駆使するグラフィックデザイナーを目指して勉強していますが、MCとかCADなど、うちの仕事に結びつく技術にも関連しますので、早くこちらのほうに目を向けてほしいという気持ちです。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

ものづくりは日本の中だけに囲っていてはダメ。内外のクロスオーバーが大切だと竹内さんは言います。
ものづくりは日本の中だけに囲っていてはダメ。内外のクロスオーバーが大切だと竹内さんは言います。
日本は資源が少ないので、ものづくりをしないと生きていけませんから、ぜひこの世界に入ってきてほしいですね。そのレールを私たちが作っていきます。また、ものづくりというのは日本の中だけに囲っていてはいけないのです。海外に出して、同時に外からも技術を吸収することが必要です。実際に当社もベトナムに工場を出して、工場長にはホーチミン工科大学出身の優秀な若手を起用していますが、日本でものづくりに行き詰まった時などにいいアイデアをもらうことがたくさんあります。角度が違った答えが返ってくるのです。先ほど触れた滑り止め用の杖の製造に当たっても、こちらでは思いも付かなかったような仕掛けの提案が彼らから出され、それが最終的な製品化に結びついたのです。ものづくりにもクロスオーバーが大切だという証明です。

ありがとうございました。
竹内さんは障害者を支援するボランティア活動にも熱心です。またベトナムの直営工場では現地の人たちを積極的に起用し、同国の雇用促進に一役買っています。経営者として、また卓越した技能者として、内外を舞台に活躍されています。
【問合せ先】  
角丸金属有限会社

■所在地      川崎区大川町11-11
■電話    044-355-2591
■FAX     044-355-2592
■営業時間  8:30~17:15
■休み    第1、第3土・日・祝
■HP          http://www.kakumaru-kinzoku.co.jp/
■e-mail   take-kakumaru@apost.plala.or.jp