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かわさきマイスター紹介

1級建築板金技能士 中村 量貢さん

勘とひらめきで頭の中に設計図、ピタリと納める匠の技

現代の建築板金はほとんどが規格化された工場生産品ですが、現場での据え付け工事はやはり人の手による作業が欠かせません。1級建築板金技能士の中村量貢さんは、長年の経験から施工の中身と金属の性質を熟知し、勘とひらめきで頭の中で設計図を描き、ピッタリとその場に納まるように仕上げる技能職人です。規格外の工事も多い住宅建築やメーカーの試作品製作でも、この熟練技能は欠かせない能力で、中村さんはさまざまな建築現場で誰にも負けない実力を発揮しています。
プロフィール
中村 量貢(なかむら りょうこう)さん

岩手県出身。地元の中学卒業後、親戚の板金工場で働き建築板金の基礎を学ぶ。昭和34年上京、蒲田で一時会社勤めをした後、川崎市に移住、結婚。昭和39年現在の地で独立。かつて同業組合の会長を務め、現在も組合活動に熱心。
川崎区在住。 (有)ナカムラ工業経営
これは、中村さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。
これは、中村さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

中村さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

父親が大工でしたので、その関係で建築方面の仕事に進もうと思っていたのですが、母親がその苦労ぶりをよく知っていたので猛烈に反対しました。それでたまたま親戚に板金屋がいたものですから、そこへ丁稚奉公にあがりました。昭和26年ごろ、15歳でした。中学を出てすぐですから、それから今日まで約60年近く、板金一筋でやってきました。親戚の板金工場で仕事を覚えた後、東京に住むおじさんを頼って22歳のとき上京(昭和34年)、しばらく蒲田で勤めた後、昭和39年、結婚を機に川崎に移り板金屋として独立しました。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

軽やかな手つきで道具を駆使して板金加工
軽やかな手つきで道具を駆使して板金加工
飽きないで板金一筋に邁進できたのは、この仕事は自分でなければできないという誇りがあったからだと思います。仕事が好きだったということもあるでしょうが、特に苦にすることはなかったですね。たとえ苦労があっても、それを乗り越えるのは精神的な問題ですから。貧乏に育ったことで、どんなことでも耐えられる力が着いたのでしょう。人間関係は別として、仕事でつらい思いをしたことはありません。

苦労したことはありますか?

硬い金属板も中村さんのはさみにかかると軽々と裁断されていく
硬い金属板も中村さんのはさみにかかると軽々と裁断されていく
つらいことがあっても、これが当たり前だと思っていましたから、特に記憶はありません。ただ仕事以外では丁稚奉公のころ、寒い田舎ですから床の雑巾がけはつらかったですね。それが弟子の仕事でしたが、とにかく丁稚時代は何でもやらされるのですよ。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

道具を手に建築板金の真髄を語る中村さん
道具を手に建築板金の真髄を語る中村さん
「雨漏りがするから直してほしい」と依頼されることが多いですが、私が行くといっぱつで直してしまいます。それが自慢というか、私の誇りですね。現場を見れば、すぐ雨漏りの原因が分かるのです。これも長い経験の賜物かと思います。最近は屋根材もいろいろありましても、幅広い素材に対応できなければなりません。材料は注文に合わせ工場で生産されるため、現場でそれ自体を加工することはありませんが、雨漏りがしないように細部の調整をすることがいちばん重要です。要するに施工の仕方ですが、ここで雨処理の技能・知識が問われるのです。これは建物の構造によっても違いますから、現場でのきめ細かな施工が欠かせません。工場生産が一般的になった建築板金といえども、最後の施工現場でわれわれ技能者の腕の見せどころがあるのです。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

銅版で作られた中村さん手製の鬼瓦
銅版で作られた中村さん手製の鬼瓦
仕事をして、うまくできたという満足感ですね。満足できるというのは、仕事がよくできたという証拠ですから、自分の誇りにもなるし、お客さんにも心が伝わり次の商売にもつながっていくのではないでしょうか。最近は現場に出ていても、クレームを聞くことが多くなりましたね。なんかケチをつけて、少しでも単価を下げようという魂胆ですが、そういう難クセに比べ、一言「夜遅くまで、よくやっていただきまして…」と感謝されると本当にうれしいですね。職人として一人で威張ってもしょうがないし、やはり皆さんに好かれることが基本ですね。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

これも中村さんの作品。芸術品的なフォルムを見せるジョウロ
これも中村さんの作品。芸術品的なフォルムを見せるジョウロ
マイスターの肩書きのおかげで名刺を出したときなど、相手の受けが良いですね。言って見れば、川崎市長のお墨付きですから信用できるということで商売上、大きなプラスになっています。わざわざ仕事を持って来てくれる人もいます。願わくば、もっとマイスターの宣伝をしてほしいですね。そういうことで、イベントには積極的に参加していきたいですね。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

愛用の道具と名人の手
愛用の道具と名人の手
5、6年前、息子に跡(社長)を継がせましたが、仕事はまずまずこなしていますので、ゆくゆくは第2のマイスターを目指してもらいたいと思っています。しかし、やっぱり現代っ子というか何事につけても合理的で、今風の職人そのものですね。私が直接仕込みましたが、本当はよそで修行させたほうがよかったかも知れません。相当厳しく鍛えたつもりですが、親子だとどうしても甘えすぎてしまいますからね。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

板金を曲げるプレス加工機
板金を曲げるプレス加工機
技術を習得するには、みっちりと腰を降ろして勉強するという姿勢が大事です。それと「やろう」という意欲ですね。技能や技術は、本人のやる気次第で磨きがかかってくるものです。専門学校にいくのも悪くはないですが、できることなら昔のように親方のところで修行したほうがいいです。学校で技術や理論は学べますが、まだまだ職人の世界は上下の人間関係が強いですから、それに耐えられるように成長するのは、やはり親方のもとでの修行ということになりますね。

最後に、これからの活動について教えて下さい。

今のご時勢、暗いことばかりで、この仕事が職業としてこれからどうなっていくのか不安が募るばかりです。同業組合も加盟員が減る一方で、かつてのように仕事を回し合うということはありませんね。先行き何とかしようと思っても、どうしようもない時代になりました。何年か前に私が組合の会長をしていた時、これではダメだといろいろ前向きのことを提案したことがありますが、誰も腰をあげませんでしたね。

どうもありがとうございました。
昨今、長引く不況で建築業界にも厳しい風が吹き寄せていますが、中村さんは跡を継いだ息子さんとともに、確固とした技術力と信用を武器に地道に家業を進められています。板金技術を活かした装飾工芸品や家庭用品などの製作にも意欲を燃やしています。
【問合せ先】  
有限会社 ナカムラ工業

■所在地      川崎区大島4-11-5
■電話    044-244-7071
■FAX     044-244-0438
■営業時間  8:30~18:00
■休み    日
■e-mail    nakamurakogyo@mzdion.ne.jp

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