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かわさきマイスター紹介

旋盤工 堺 昭二さん

創意研究を凝らし、精度の高い製品づくりに貢献

堺さんは流体貯槽の液面計、液面計測機器の専業メーカー・和興計測に勤める旋盤加工の熟練工です。同社の主力製品である防爆ケーシングの加工で、不安定で複雑な形状の重心点をすばやく捉え、品質を損なわないで短時間で処理する技術に秀でています。その加工方法も常に創意研究を凝らし、精度の高い製品づくりに貢献しています。若手社員の指導にも熱心で、常に想像力を持って技術向上を目指しています。
プロフィール
堺 昭二さん


東京生まれ。戦後、両親とともに佐賀県に移り小・中学校時代を過ごす。上京後、精密機器メーカーで働きながら大森工業高校(現・大森学園)機械科夜間部に通い旋盤などを学ぶ。和興計測入社、現在に至る。
かわさきマイスター平成15年度認定
大田区在住。(株)和興計測勤務。
これは、堺さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

堺さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

中学を出て上京し最初、おじが関係する精密機器メーカーの下請け工場でフライス盤などの作業をしていました。そこで働きながら夜学で通った工業高校で旋盤に興味を持ち、会社に頼んで、それまでの一般機械の仕事から旋盤加工の仕事に回してもらったのが、そもそもの始まりです。その後、たまたまその会社の仕事で縁のあった和興計測に来ないかとスカウトされて転職。それ以来、この会社に入ってからも旋盤を中心にフライス盤、ボール盤を扱ってきました。それも最初に入った会社からずっと、汎用機専門でやってきました。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか? また難しいことは。

ねじ穴を開けるタップを操作する堺さん。機械相手に黙って好きな仕事ができるのが最高と言います。
ねじ穴を開けるタップを操作する堺さん。機械相手に黙って好きな仕事ができるのが最高と言います。
機械を相手に黙って仕事ができることですね。人間相手のように気を遣ったり余計なことをしゃべらなくてよいし、自分にあった好きなことを黙々と出来るわけですから幸せです。一般的に言って職人は無口の人が多いですから。ただ、頭の中では常に工程を考えながら作業を進めなければならないので、見掛けほど楽ではありません。それでも、いろいろな製品づくりに柔軟に対応できる汎用機はやっていて楽しいですね。仕事自体は難しいですが、いろいろ治具を考えるのも面白いですよ。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?

「人ができないこと、人が好きでないことを進んでやってきたのが技量の積み重ねにつながったようです」。
「人ができないこと、人が好きでないことを進んでやってきたのが技量の積み重ねにつながったようです」。
人ができないこと、人が好まないことを進んでやってきたからだと思います。それが積み重なって一つの技能に昇華したのでしょう。私には師匠はいません。自分でいろいろ考えながらきました。人の仕事を盗んで覚えたこともあります。「学ぶより、盗め」と言いますからね。そのほうが実になるのです。例えばバイト(金属用刃物)を研ぐのにNC旋盤だと機械がやってしまいますが、私は今でも自分でグラインダーを回しながら削っています。これも昔、人がやっているのを見て覚えたんです。何ごとも「どうしたら良いか」「他のやり方はないか」と絶えず考えてやって来ました。そうしないと向上しないし、いい製品も生まれてきません。

苦労したことはありますか?

いつも苦労ばかりです。複雑な形状の物が注文された時、半日ぐらい品物をにらみつけて、あれこれやりながら、おもむろに考えます。考えるから解決の糸口が見つかるのです。とにかく考えること。そして、いろいろ学んで、昔の技術を生かし、それをさらに応用していく力を養うことが、苦労を乗り越える支えになると思います。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

旋盤加工した製品。堺さんはアルミ素材が専門だそうです。
旋盤加工した製品。堺さんはアルミ素材が専門だそうです。
旋盤以外には自信ありません。汎用機なら何でも使えます。当社は主に液面貯槽の各種計測器や液面制御装置の開発・製造を行なっていますが、一台の計測装置には旋盤加工した部品が何十個、時には何百個も取り付けられ、一個でも寸法を間違えると大変なことになります。そうしたパーツを汎用旋盤機で加工するのが私の仕事で、アルミ素材を専門に引き受けています。ステンレスや真鋳(ちゅうの)など他の素材は他の人に任せています。
仕上がった製品を手に説明する堺さん。
仕上がった製品を手に説明する堺さん。
旋盤加工された製品と名人の手。上司から「不良率はゼロに近い」と誉められるそうです。
旋盤加工された製品と名人の手。上司から「不良率はゼロに近い」と誉められるそうです。
ねじ穴を開けるタップ。失敗は許されません。
ねじ穴を開けるタップ。失敗は許されません。
私の作る工作物は「不良率ゼロに近い」と上司は誉めてくれます。一般的に、製品を50個作るとすると不用品を見込んで55個作ります。5個余分ですが、これは無駄な話で、私の場合はピタリ50個で納めます。記憶している限り、余計に作った覚えはありません。せっかく旋盤加工が終わったのに、最後にたった1本のタップ(ねじ切り)が折れてねじ穴に詰まってしまったら全てが台無しです。仕事とは、1個1個の作業を精神集中してやっていくもので、失敗は許されないのです。汎用機はそうした手づくり的な、きめ細かな作業ができるのです。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

ゲージで寸法に狂いがないかチェックします。
ゲージで寸法に狂いがないかチェックします。
1つの仕事が終わって「やったな」と思う時が最高です。自分が手がけた製品が日本や外国で活躍していると思うと胸が躍りますね。実際に取り付けられた現場を見ることはほとんどありませんが、一度ある工場へ見学に行った時、「ああ、こんなところで活躍しているんだ」と、自分が作った製品を見て感動したことがありますね。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

業種が異なる、いろいろな人と会えることが楽しいです。せっかくマイスターに認定されても会合などに出てこない人がいますが、もったいない話だと思います。もっと交流を深めて技能職仲間のつながりを広げていきたいですね。イベントもありますが、機械関係の技能はなかなか実演が難しいですから、映像などでアピールしたらいいですね。技術の理解にプラスすると思います。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

旋盤加工された製品の中に納められた測定器の部品。
旋盤加工された製品の中に納められた測定器の部品。
会社の中にはまだいませんが、若い人も多いので、これから教えて育てていきたいと思います。私の場合、誰にも教えてもらわないで、人の技を見て自分で覚えてきた技術ですから、本当は若い人に「俺の技を見に来い」と言いたいですが、今の時代はどうですかね。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

堺さん専用の汎用旋盤。入社以来、汎用機専門にやってきました。
堺さん専用の汎用旋盤。入社以来、汎用機専門にやってきました。
興味とやる気が第一に必要だと思います。それがないと上達しませんね。技能者として、その技量を認められるには努力と追求心が必要です。それと、その仕事が自分にあっているかどうかということも大事なポイントでしょうね。

最後に、これからの活動について教えて下さい。

こんな小さな部品も堺さんの魔法の手にかかれば簡単に出来上がります。
こんな小さな部品も堺さんの魔法の手にかかれば簡単に出来上がります。
NC機械が多い中で、汎用機を使う人が減ってきていますが、もっと使う人が増えて欲しいですね。汎用機こそものづくりの基本となるものであり、「匠の世界」そのものです。もともと当社の製品は多品種少量生産型で、コンピューターで制御する量産型のNC旋盤にかかるようなものは少なく、汎用機を使う比重が高いですから、これからも仕事を通じてその良さを訴えていきたいと思います。

どうもありがとうございました。
不良率ゼロの話には驚きましたが、堺さんは仕事を終えた後、機械の掃除や手入れを気の済むまで徹底して行なうそうです。これこそ、匠魂の真骨頂そのものと言えます。周りの人たちに「さすがマイスター」と評判が高いのも頷けます。
【問合せ先】  
株式会社和興計測

■所在地   高津区久地864-1
■電話    044-833-7181
■FAX         044-850-8586
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■休み    土・日・祝
■HP          http://wako-keisoku.co.jp/
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