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かわさきマイスター紹介

試作多能工 備前 幸雄さん

今回紹介する備前さんは、一人で数多くの仕事をこなす試作多能工として、環境濾(ろ)過装置の専業メーカー「ショウエイ」の製造部門を担うプロダクトリーダーです。下請け型から自立型へと脱皮・成長する中小企業にあって、新製品開発の設計技術者と一体になって、旋盤、フライス盤、製缶加工や溶接機器などを扱う多能工として蓄積された技能が、試作の段取りや加工に発揮され、多くの成果を生んでいます。日常業務の中では現場の要となり、若い技能者を根気よく育成しています。
プロフィール
備前 幸雄さん


秋田県生まれ。横手職業訓練校機械科中退。15歳で上京。備前組に所属して17歳まで見習いとして市内各所の現場を回る。その後、機械メーカーに就職し21歳まで在籍、52年退社。正永製作所(当時)でアルバイトを経て正式社員となり、現在に至る。
かわさきマイスター平成10年度認定。
世田谷区在住。(株)ショウエイ勤務。
これは、備前さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

備前さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

上京して2年ほど、川崎で父親が関係していた備前組を通して機械周りの仕事をいろいろ経験したあと、圧延機械のメーカーに派遣という形で4年ほどいました。オイルショックの頃、そこも辞めて、その後アルバイトで入った今の会社の前身である正永製作所から「社員にならないか」と薦められ、入社したのがそもそも始まりです。当時は製缶や板金など、何でもやっていました。水の濾過関係の仕事は、ずっと後で始まったものです。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか? また難しいことは。

仕事に集中している時はすべて面白ですね。私にとって、ものづくりは趣味みたいなものですから、何もないところから形を考え、ものを作り出していくことが楽しみです。それに自分たちの手がけたものが、お客さんに満足して使ってもらえることが何よりもうれしいです。今はエコの時代ですから、地球環境を考えた水処理の技術や省エネ・省力・省資源などの面で新しい提案ができることもやりがいにつながっています。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?

実家は農機具を作る鉄工所だったし、兄やおじもエンジニアで、自分自身も小学校の時から機械技師になりたいと思っていました。父親がエンジンをばらして組み立てたり、旋盤で削っているところを見て「ああ、こんなこともできるんだ」と、ものづくりの現場を見ながら育ちましたから、職人への道が自然に開かれていったという感じで、いわば天職みたいなものだと思っています。私にとって、その時は一種の遊びみたいなものが結局、自然と一つの仕事に結びついていったのだと思います。だから、何かの開発見本がきても、すぐにやり方が頭に浮かんできます。経験値にプラスして、その時の新しい技術などを加えて製品化していくことの繰り返しがスキルアップにつながったと思います。

苦労したことはありますか?

川崎に出てきた頃、母親と一緒に炎天下の埠頭で中古機械の船積み作業をしていた時はつらかったですね。社会に出てからは、ただもうやるしかありませんから精神的に悩んだことはありませんが、体力的・技術的にはいろいろ苦労したことはあります。例えば、ある遊園地で水上コースターのレール交換の際、水の中を曲がりながら走るレールの寸法を合わせるのに大変だったことを覚えています。この会社も事業を濾過装置に集約するまでは、製缶とか配管、ジェットコースター・観覧車などの遊具設備、タンク、航空機部品の製造など、様々な機械を扱ってきましたから、私もいろんなことをやらされ、逆にそれが蓄積して多能工としての技量につながったということも言えますね。一番苦労しているのは、今かもしれません。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

その人が優れているのは、何でもやるからではないでしょうか。私の場合、工作機械とか溶接、製缶、組み立てなど、いろいろなことができますから、皆から「さすがマイスター」と言われるのだと思います。何でもできるには多方面にわたる、それなりの知識を持っていなければなりません。そこが多能工と言われる由縁でしょう。だから社長は私に多能工という名称を与え、マイスターにも認定されたのだと思います。学識ではなく、パッと見た時にすぐ反応できる技量ですね。図面は引きません。頭の中にすべて入っていますから、いったん機械に乗っかれれば、私はどんなものでも加工し、製品化できる自信があります。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

ものづくりは「できる」か「できない」かの世界です。できなければ、最初から引き受けしません。また自分の思うように仕事が仕上がっても、これでいいと思うことはありません。現状で満足せず、永遠に追いかけることが、ものづくりの最大の魅力ではないでしょうか。いまは、ただ走っているだけです。これから10年、20年してやっと「あの時はこうだった」と思い起こせる仕事が残るのだと思います。それだけ息の長いもの、これこそものづくりの本当の魅力だと思います。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

お客さんからの評価が変わり、自分自身にも責任感が高まりした。仕事に対し、ぐっと気持ちが引き締まる思いです。多様な業種にわたって、たくさん優秀な人たちがおられますから、もっとマイスター同士の交流を広げ、それぞれが専門職なわけですから、川崎市の産業発展のために尽くしていければと思っています。マイスター制度そのものを、もっと活用できたらいいですね。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

特別なプログラムを組んでいるわけではありませんが、日ごろの仕事を通じて教えるようにしています。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

まず自分の手でやる、体験することが第一ですね。好奇心を持って、行動する。そうすれば自然と頭を使うし、体で覚えます。きっかけは興味を持って取り掛かるとしても、1つのものに対しあまり長く興味は持ち続けないほうがいいでしょう。興味というのは、やっているうち次第に薄れていくものですから、むしろ好奇心こそが必要です。どこかの道を歩いていても、何か見れば、ものづくりする人間なら「この品物はどのようにできているのだろう」とすぐ考えます。だから「やる気と好奇心」。学校はあまり関係ないでしょう。私も職業訓練校、すぐやめてしまいました。

最後に、これからの活動について教えて下さい。

できれば海外へ行って技術指導などしたいですね。国内でも依頼があれば小・中学生に、ものづくりについて教えていきたいです。かわさきマイスターに認定された直後に、横須賀市内のある小学校から頼まれて6年生に話をしたことがありますが、皆んな一生懸命聞いてくれて予定時間をオーバーしてしまったこともあ
ります。工業高校で話したこともあります。

どうもありがとうございました。
同じ多能工でも備前さんには、「試作」という言葉が前についています。ある企業が新製品の開発・販売を計画すると、まず試作品を作り改良・工夫を重ね商品化へ進みます。備前さんの会社はそうした試作品の製作を依頼されるわけですが、その種類・用途は多彩です。しかし、どんな製品にも対応できなければなりません。この時に試作多能工として複数の技能を身に付けた備前さんの実力が発揮されるのです。
【問合せ先】  
株式会社ショウエイ


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