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かわさきマイスター紹介

印刷技能士 流石 栄基さん

スキャナーを駆使し、原画のイメージを忠実に再現する印刷のマジシャン

印刷は色分解した後、CMYK (藍、赤、黄、黒)4色を組み合わせた網点からできており、色彩に関する経験と感性が重要な要素となります。作家のイメージする色を出すのは高い技術が要求されます。今回紹介する流石さんはカラー印刷において、色の再現を得意分野としており、スキャナーを駆使して色分解する技能を保持しています。世界的なアーチストのポスターや画集・写真集などを手がけています。
プロフィール
流石 栄基さん

山梨県生まれ。東京写真大学(現東京工芸大学)卒業、写真製版専攻。同年日本プロセス入社。高校時代から写真部に所属し、生まれ育った河口湖畔で富士山の写真を撮りまくったという。絵画にも趣味を持ち、創作的な仕事に関心を寄せていた。カラースキャナー1級技能士。かわさきマイスター平成17年度認定。
相模原市在住。日本プロセス株式会社勤務。
これは、流石さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

流石さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

高校時代から写真に興味があり、当時では高価だった写真機を買ってもらい、モノクロの現像も自分でやっていました。大学では写真製版を専攻し、写真と印刷の基礎的な知識と技術を学びました。印刷会社に入社したのも、そうした流れの延長です。大学で助手に残れという話もあったのですが、絵にも興味があったし、結局この世界に入ってしまいました。力仕事は余りしたくなかったですね。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

12色のインクジェットプリンターを利用し原画を忠実に再現した岡本太郎ポスター・パンフレット。
12色のインクジェットプリンターを利用し原画を忠実に再現した岡本太郎ポスター・パンフレット。
納品した時、お客様の反応が良いことですね。理由は印刷の仕上がりがお客様の希望どおりになっているからにほかなりません。インクや印刷用のデータが同じにもかかわらず当社の出来栄えは、他社とぜんぜん違うのが比べてみると一目瞭然ですから、お客様が納得されるのも当然です。私は営業もやっていますから、その差を敏感に感じています。0から100までの網点の置き方とかバランス、ハイライトの処理など微妙なところで当初独自のノウハウが生きています。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?

原版を4色に分解するスキャナー。印刷の精度や仕上がりを良くするため、網点を細かくすればするほど作業は難しくなるそうです。
原版を4色に分解するスキャナー。印刷の精度や仕上がりを良くするため、網点を細かくすればするほど作業は難しくなるそうです。
印刷は生き物です。いくらコンピューターで調整しても、印刷時のインクのつき方は天候や室内の湿度などに左右され、出来あがりに影響します。工程も長いため作業環境を最適にして保つ必要があります。印刷の精度や仕上がりを良くするため網点を細かくすればするほど作業は難しくなり、入社以来きょうまで35年、私なりに努力してノウハウを蓄積してきました。これはひとえに、お客様に喜んでいただける素晴らしい印刷をお見せしたいという一念があったからです。

苦労したことはありますか?

色見本帳も匠の貴重な道具です。
色見本帳も匠の貴重な道具です。
イラストライター・及川正道さんの「50周年記念誌」を作った時は、いい意味での苦労をしました。笈川さんは情報誌「ぴあ」の表紙に著名人のイラストを30年以上も長期にわたって描き続け「同一雑誌の表紙イラスト制作者として世界一長いキャリア」としてギネス世界記録に認定された人ですが、その人の1000点にも及ぶイラスト作品の綿密な色調整を土・日返上、2カ月かけて行い、限りなく原画に近い色調を再現し、凸版印刷に匹敵する刷り上りを完遂しました。まだ40歳代でしたが、腱鞘炎を起こすほどハードな仕事でした。
笈川さんから注文をいただけたのも、実は先ほど言ったような、他社には真似のできない当社の印刷技術が先生の目に留まったからでした。笈川さんは当初、凸版による印刷を考えられていたようですが、たまたま当社がそれに匹敵する印刷技術を持っているということをお知りになり、こちらに発注されたといういきさ
つがあります。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

画像処理ソフトを使って作業を説明する流石さん。一流アーティストの注文も原画どおりの色調を忠実に再現します。
画像処理ソフトを使って作業を説明する流石さん。一流アーティストの注文も原画どおりの色調を忠実に再現します。
版下づくりの時点で徹底した色分解・色調整を行い、原画と同じ色調に印刷する技術です。色彩とか立体感など、原画に沿って忠実に4色分解した印刷原版を作りますから、色調の統一された印刷物を納品できます。よく実際の印刷段階で、色校正といってインク濃度で色の出方を調整しますが、これはデザイナーなど校正者の好みなども反映され、原画とは異なる製品(刷り上り)になる恐れがあります。私は原版で色(基準濃度)を決めますから、印刷本番でばらつきが出るということはありません。つまり、すべて標準濃度で印刷されるため、品質の統一された印刷物が仕上がるというわけです。再版する場合も原版は同じですから同等のものが納品できます。印刷で色を変えてしまっては標準化にならないし、再版時も違ったものが出てしまいます。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

「うまく刷り上って、お客様が一緒に喜んでくださる時は最高の気分です」と、制作物を前に印刷の魅力を語る流石さん。
「うまく刷り上って、お客様が一緒に喜んでくださる時は最高の気分です」と、制作物を前に印刷の魅力を語る流石さん。
好きだからできる仕事で、天職だと思っています。それと、うまく刷り上ってお客様が一緒に喜んでくれる時ですね。それはもう、お客様というより一緒にいい作品を創り上げるパートナーとしての関係と言えます。そういう気持ちでやっていますから、入札で当社に決まった場合、お客様が拍手して喜んでくれるんですね。うれしいですよ。「高品質でコスト安」は企業努力ですが、自分自身の感性を磨くことは技術者自身の課題です。変革の激しい世界ですから、日頃から美術館に行ったり印刷の新しい動きを知るなど、いろいろなものに興味を持って最新の知識や技術を学んでいけるのも、この仕事ならではの魅力です。20年やっても駄目な人と、3年で芽が出る人との差はこんなところから出るのではないでしょうか。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

今まで接触のなかった他の職種が分かったことです。もっと技術を発表できる場所があればと思っています。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

「次世代を担う人たちに高いレベルの印刷技術を伝えていきたいと思っています」。
「次世代を担う人たちに高いレベルの印刷技術を伝えていきたいと思っています」。
印刷技術は今後、さらに高品位、高付加価値の世界へ移行していくと思います。日本の印刷技術は世界の3本指に入ると言われていますが、そういう点で、まだまだ問題解決へ向けて考えていかなければならないことがたくさんあります。誰もが障害なく利用できるユニバーサルデザインを指向することも、その一つです。次世代を担う人たちに、そうしたことを伝えていきたいと思います。今の仕事レベルで私の後継者と言えそうな人は、社内に2人くらいですかね。もっと増やしていかなければなりませんが…。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

原版と照らし合わせ色分解の調整をします。
原版と照らし合わせ色分解の調整をします。
好奇心と感性を磨くことです。何ごともいい仕事をするには、感と度胸と経験と言いますが、経験よりもっと大事なのは感性だと思います。特にクリエイティブな仕事ではものを言いますね。

最後に、これからの活動について教えて下さい。

キーボードを操る名人のタッチは早い。
キーボードを操る名人のタッチは早い。
「情報を伝え文化を伝える仕事」を標榜する当社の社是に沿って、FMスクリーニング印刷とかシックスカラー(広色域6色)印刷、湧水印刷、デジタルカラープルーフなど高度な技術力を要する印刷手法を用いて、より品質の高い制作物をお客様にご提供していきたいと思っています。

どうもありがとうございました。
技術者でありながら営業の仕事もこなしているという流石さん。お客様の生の希望を自らの耳で聴き、鍛え上げた製版・印刷技能でニーズに応えています。画家やアーティストなどプロの厳しい注文にも動じず、日進月歩の印刷業界の中にあって、技術探究心も旺盛です。

川崎市の技能者や職人の皆様を紹介する映像番組「The 職人魂」でも、紹介されました。

【問合せ先】  
日本プロセス株式会社

■所在地   高津区下野毛1-2-19
■電話    044-812-2511
■FAX         044-812-2089
■営業時間   8:30~17:30
■休み     日・祝(土は不定期)
■HP         http://www.ni-pro.co.jp
■e-mail     web@ni-pro.co.jp