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かわさきマイスター紹介

食肉加工士 畑 幸男さん

畑さんは食肉加工の熟練者で、精肉の高度な見極めに優れ、素材、塩、スパイスや温度調節など本格的な製法とドイツ製の機械で練る、ボイルする、焼くという熟練技能を駆使して、オリジナルな多品種のハム・ソーセージ製品を生産しています。特に、国際コンテストで何回も金賞を受賞するなど日々の研鑽にも力を入れ、後継者の指導にも熱心です。
プロフィール
畑 幸男さん

立川市生まれ。34年専門学校卒業後、東京コカ・コーラの営業マンを経て、42年に独立、小田急読売ランド店開業。かわさきマイスター平成16年度認定。平成9年、15年、18年にドイツ・シュテッツトガルト「ズーファー食品コンテスト」で金賞受賞。9年、11年にオランダのスラバクト食品オリンピックで金賞受賞。麻生区在住。有限会社伊勢銀代表。ハム・ソーセージ専門店「肉の伊勢屋」経営。
これは、畑さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

畑さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

実家は代々食肉店で、兄も登戸で店を開いていました。最初は肉屋をやる気はなく、清涼飲料水のメーカーで8年ほど営業をしていました。たまたま勤務地が変わり、そちらで家を建てようと土地を探していたら、兄から「どうせ新しく建てるなら、肉屋を始めないか」と誘われました。そこで会社を辞め、たまたま今のこの場所にいい物件があったので、そのまま開業したというわけです。26歳ぐらいの時でした。開店準備から従業員手配まで全部、兄が面倒見てくれました。当初は食肉販売中心にやっていましたが、昭和62年ごろハム・ソーセージ専業に転換しました。当時すでに食肉専業店に対する悲観論が出始めており、このままでは行き詰まると危機感を感じたのです。そこで本場ドイツでハム・ソーセージを本格的に勉強してきたプロに従事して技能を磨き、川崎市で食肉販売店として最初の食肉加工業として認可を受けました。店舗も改装して、現在の基盤が出来上がりました。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

肉は加工することによって、また別の味が引き出せます。機械と技術があれば、どんな加工食品でも作り出せる面白さですね。材料の食肉は全て国産品を使用し、四季折々、季節に応じて旬の野菜をミックスするなどアイデア次第でオリジナルなハム・ソーセージが作り出せるのです。私はこれを始める前2年間、先ほど言ったドイツ帰りの師匠に付いたり、他の肉屋で食肉加工技術を学んだりと、徹底的に修行しましたから、余計にハム・ソーセージ作りへの愛着と魅力を感じ、生きがいにもつながっています。うれしいのは、お客様がうちの商品を人に贈られて、今度は贈られたその人から直接ご注文をいただいた時ですね。全国の、それも本当遠いところから電話かかってきます。最高のものを作って、人様に喜ばれたいという味づくり職人の気持ちが通じたようで、ますますやりがいを感じます。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?

人に負けない、それ以上になりたいと常に向上心を燃やし続け、努力してきたからだと思います。密かにデパートの売り場を覗いて味見をしたり、同業店の品揃えを偵察したりと必死でした。始めた以上は引き返せないというプライドもありました。途中でやめて、他の道に変わろうなんて微塵も思ったことありません。国際コンテストに挑戦するのも大きな励みになっています。平成9年に初めてドイツのコンテストで金賞をいただきましたが、それまで10品出しても1つも入賞しなかったりして挫折を味わいながら、必死になって現地の気候風土や嗜好を研究して、やっと向こうの審査員の舌に叶う商品を開発できました。同年、オランダの食品オリンピックでは金賞はじめ10品が入賞しました。コンテストは私にとって、技能を磨く大きな原動力となっています。

苦労したことはありますか?

食肉店を始めて数年間は売り上げが年々伸びて絶好調でしたが、49年に小田急・新百合ヶ丘駅が開業し、スーパーなどが進出し始めると次第に客数が減り出し、あせりましたね。近隣の食肉店がどんどん廃業したり、業種変えしていきました。私もこのままではダメだと、販売商品を思い切って食肉からハム・ソーセージへ転換することにしました。最初は売れ残った食肉を加工していましたが、専業化しようと先ほど言ったドイツ帰りのマイスターに弟子入りして本格的にハム・ソーセージの加工技術を修得しました。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

肉を厳選する目とハム・ソーセージ製造にかけては、かなりのこだわりを持っています。特にビアシンケン(ビール向けハム)とベーコンは独自の製法、味が自慢です。前者はソーセージとハムの混じったもので、ピスタチオというドイツから仕入れた高級スパイスをたっぷり使っています。見た目も鮮やかですが、食感もまた格段の差で人気商品です。ベーコンは一般の市販品は焼いても縮みませんが、うちのは焼くと縮れる本物です。両品ともスパイスの混ぜ方に秘密があり、他では出せない商品だと自信持っています。スパイスは全てドイツから直接仕入れています。塩もミネラル10%以上の天然天日干しのフランスゲランド産グル、セルを使っています。水はもちろん天然水で、ミネラル豊富な丹沢の清水です。製品を真空包装する袋も全部ドイツ製のものを使っています。ただし、肉はさっき言ったように和牛オンリーです。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えて下さい。

ある商品の売り上げが落ち出したら、すかさず次ぎは何を作ろうかと考える楽しみですね。お客様に飽きられないように絶えず品揃えを工夫していくことが大事ですから、商品化のアイデアはどんどん膨らんでいきます。おいしい本物を作るため、少し高くてもいいから良い材料を使って最高のものを作っています。「素材よければ全てよし」、これが食べ物づくりの基本だと思います。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

マイスターのことを知らない人も多く、説明してあげると納得していただけます。よくご存知のお客様からは「おめでとう」と喜んでいただきました。テクノ関連のイベントには積極的に参加していきたいです。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

娘2人と息子がいますが、それぞれ同じ食肉加工の道を歩んでいます。小さい頃から父親の私を見て育ち、特に上の娘は自分でもやりたがっていましたから、ごく自然に技術を覚え、新百合が丘で店を開いています。こちらの本店では息子と下の娘夫婦、それにもう一人、食肉加工を志してきた青年を加え、若手4人が中心になって店を切り盛りしています。私が口を出すより前に、進んでやっていますね。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

食肉加工業、特にハム・ソーセージ専門店は利益率も良く、これから伸びる有望な「企業」だと思います。専門店と名乗る店舗はまだ少なく、技術と機械さえあれば場所を選ばす、どこでも開業できる魅力があります。味に特徴があれば口コミで広がり、通販やインターネットでも販売できます。技術は学校に行かなくても、店で修行しながら覚えられます。

最後に、これからの活動について教えて下さい。

ドイツのコンテストでは4回金賞を獲得しましたが、いま5回目を狙って新製品開発の準備を進めています。本場ドイツでのコンテストは、気候や温度、塩分濃度などの違いで、同じ作り方をしても日本で出した食感と異なるものができてしまいますので、その調整をどのように工夫するか、過去の失敗例も参考にしながら目下、研究中です。そしてもう一つは、上の娘のためにもう1店、出店計画を練っているところです。

どうもありがとうございました。
国産の肉から本場ドイツの製法を崩さずに、おいしいハム・ソーセージを作りたい―そんな情熱を支えに、独学をしながら技量を磨いていった畑さん。肉だけではなくスパイス、塩など素材へのこだわりは、匠の心意気そのものです。
【問合せ先】  
有限会社伊勢銀「肉の伊勢屋」

■所在地   多摩区西生田3-9-20
■電話    044-966-9336
■FAX         044-966-9336
■営業時間  9:00~20:00
■休み    日・祝