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かわさきマイスター紹介

印章彫刻士 磯野 紀子さん

2本として同じものがない手彫り印章

磯野さんは、手彫りではんこを作る技能を持つマイスターです。密刻や篆刻など、すべて手作業で彫り上げます。三文判、実印、ゴム判、あらゆる素材や種類の印章を手がけています。この春までは神奈川県印章職業訓練校で後輩の指導にもあたっていました。
プロフィール
磯野 紀子(いその のりこ)さん

千葉県旭市生まれ。20歳のときに川崎区の親戚のところに住み込みで入り、印鑑を作りに行った先でご主人と知り合う。神奈川県印章職業訓練校に通って技術を修得し、この道に入って約30年。横浜マイスターの國峯正美(くにみねまさみ)さんを師と仰ぐ。かわさきマイスター平成17年度認定。高津区在住。一伸堂印房経営。
これは、磯野さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

磯野さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

夫が長くお店をやっていて、私は子育てをしていましたが、昭和50年に亡くなり、後を継ぎました。仕事をしなければならない状況になったとき、他の仕事は考えられず、この道に入ったのです。
神奈川県印章職業訓練校に3年間通い、技術を修得しました。教える資格もとって、訓練校の先生を始め、以来この3月までの22年間、指導にもあたりました。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

お客様と接することですね。注文を受けて彫りながら話すこともあれば、お茶を飲みに立ち寄ってくれるお客様もいます。
ただ、たくさん売れた時代と違い、今は注文が少なくなってしまったので、そういう機会が減って寂しく思っています。
印鑑だけではなく、名刺やハガキの注文も減りました。パソコンを使って簡単にできてしまう世の中です。
手彫りだからこそできる仕事もあります。この辺は外国の方が多いので、カタカナや英字の三文判をすぐに作れるように、通常よりも大きい土台を用意してあります。
難しい注文も寄せられます。名字を細字でベースに入れて、その上に太く名前を入れるという、立体的な作品はとても難しかったです。すごく硬い木を持ち込んで、イラストと文字を入れて欲しいと言われたこともあります。
すべて手彫りですので、2本として同じものはありません。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか? (他の道に行こうと思わなかったですか?)

結婚した昭和39年頃からずっとはんこ屋だったから、他の道に進もうと考えたことはないですね。女性でも面白いからやってみようと思いました。
学校に通っているときは、負けず嫌いな性格から一番にならないと気が済まなくて、上達しました。訓練校時代は、1年でも2年でも、学年で1番の成績だったんですよ。
はんこの世界は面白いです。毎日仕事に出ることで、健康的に生活することができます。

苦労したことはありますか?

仕事を楽しみにしていますし、私は楽天家だから、苦労を苦労と思いません。だから苦しいと思ったことはないです。
経済的に苦しかったことは幾度もありますが、そのときはそのときで、いつも楽しめました。どこにいても、すぐに溶け込めるので大丈夫です。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

密刻を彫ることができるのは、川崎市内で2人だけです。
龍のウロコは切り回しでひとつひとつ彫ります。切っては回し、切っては回し、根気よく彫るのです。これがとても大変です。
訓練校の生徒の刺激になると思いますので、彫ったものは学校に持っていって、見せるようにします。
密刻の双龍(ふたつりゅう)
密刻の双龍(ふたつりゅう)
ウロコが細かく細かく彫られています
ウロコが細かく細かく彫られています

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください

完成したときの喜びが魅力です。
ひとことに印鑑と言っても、土台の素材も、彫る文字の書体も、多種多様です。古印体、印篆(いんてん)、象形文字みたいな面白い文字が、個人的には好きな書体です。味があっていいですね。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

お店のショーケースに食品サンプルが(写真中央)
お店のショーケースに食品サンプルが(写真中央)
マイスターの友達がいっぱいできたことです。
2010年1月に行われた新年会では、食品サンプルの田中司好さんとお話し、キーホルダーを頂きました。本当に本物みたいでビックリしました。
また、その席で女性マイスターのうち5人と、11月中旬のマイスターの旅行に行こうと約束をしました。男性が多いので、参加するのも躊躇していましたが、みんなで参加できれば楽しくなります。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

小学校6年生の作品
小学校6年生の作品
後継者は娘ですが、この業界の行く先を考えると、私が引退するときに店をたたもうかという話は出ています
小学6年に篆刻を教えに行って卒業の記念品を作りますが、これがなかなかの腕前なんですよ。呑み込みが早くて、とても上手です。思い切りがよく、勢いがあるので、いいものに仕上がります。
訓練校では篆刻の時間が少ないので、もっと増やして欲しいと思っています。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

日本人は、ものを作るのが好きです。自分がやって面白くなるまでには時間を要します。それを難しいと感じるかもしれません。
この仕事につくには、訓練校に入るのが一番手っ取り早いと思います。1日座る地味な仕事なので、忍耐と根気が必要です。

最後にこれからの活動について教えてください

今後も健康で続けていきたいと思います。
ワークショップをやって、お礼の手紙をもらうとうれしく思います。機会があれば、イベントなどを通じて、みんなに知ってもらえるといいですね。

どうもありがとうございました。
にこやかにお話をしてくださる磯野さんも、彫る作業となると、ギュッと集中力が高まります。
非常に細かい作業で、肩や目への負担も大きいでしょうに、苦労話しは全く出てきません。
【問合せ先】  
一伸堂印房

■所在地   中原区上新城2-1-28
■電話    044-766-7592
■FAX         044-766-5776
■営業時間  10:30~18:00
■休み    土・日・祝

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