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かわさきマイスター紹介

寝具技能士 内海 正次さん

顧客の要望が布団作りのすべて

生田に店を構え、寝具製造歴60年の内海さん。ご両親も布団屋を営み、お兄さん2人も沼津で布団屋を経営しています。冨田屋(とんだや)流の技能を持ち、顧客のニーズに合わせた布団作りをしています。掻い巻き(かいまき=袖のついた寝具)作りでは、熟練の技能を発揮。店内には布団用の布も取り揃えてあり、生地選びからオーダーできるのも魅力のひとつです。
プロフィール
内海 正次(うつみしょうじ)さん

静岡県沼津市。兄姉5人の末っ子に生まれる。高校卒業後20歳まで沼津で家業を手伝い、東京の蒲田の寝具店で3年修業し、再び沼津の家業を手伝う傍ら23歳のとき、東海繊維という屋号で寝具の卸を始め、関東一円から静岡まで、約160件の顧客を獲得して2年後再び上京。昭和51年から現在の地で小売りを始める。
川崎市多摩区在住。ふとんのうつみ経営。平成10年度かわさきマイスター認定。
これは、内海さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

内海さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

冨田屋流の角綴じをする内海さん
冨田屋流の角綴じをする内海さん
布団屋に生まれ育って、小さい頃から手伝っていましたので、自然とこの道に入りました。
冨田屋流の特徴は綴じが違うことです。ほどけないよう、ゆるまないような綴じ方をします。普通は2~3年でゆるんでしまうが、冨田屋流はゆるみません。この綴じを兄に習い、子どもの頃から手伝っていました。
蒲田で働いていたとき、配達から帰ってくると布団作りを手伝っていました。そのとき私の綴じ方を見てどこで覚えたかと問われ、それが冨田屋流であることを知りました。兄が学んでいたところが、偶然にもその蒲田のお店のお弟子さんだったんです。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

光沢のある糸はお祝いの座布団用
光沢のある糸はお祝いの座布団用
お客さまから礼状を頂くと、とてもうれしいです。   
寝心地がよいものでご希望に合うものを作ってさしあげたいと、そればかりを考えています。インターネットがあるので、お客さまは近くから遠方まで広範囲にわたります。『着物と日本人―つくる技、着る技』(原田紀子著/平凡社新書)という本に取り上げられたことで、反響もありました。
全部自分ひとりで作りますので、面白みもありますが、反面、責任もあります。面倒な注文ほどやりがいを感じます。お客さまが、座布団用の布でないものを持ってきて円形座布団を作るということもありました。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか? (他の道に行こうと思わなかったですか?)

角の綴じ方にも数種類の方法がある。
角の綴じ方にも数種類の方法がある。
別の道にと思ったことはありません。生まれたときから布団屋でしたから。
続けられたのは、お客さまがいらしたからです。
大変だけど、仕事をしていることで元気でいられました。休みなく、ずっと布団といっしょに過ごしているわけです。趣味が仕事と言っても過言ではありません。たまに仕事がないと、パソコンをしています。友達は19歳の孫ですね。

苦労したことはありますか?

苦労と思ったことはありません。
大変だった仕事は、平成20年の敬老の日に向けて作った『紫福寿肌掛け布団』でしょうか。平成20年度、敬老の日に川崎市が贈る米寿のお祝い品に、紫の肌掛けを出したら170枚の注文があり、たった1ヵ月で作ることになったのです。自分のペースでやっていたのでは終わりませんでした。通常、お客様には布団で4週間もらっていますので、かなりタイトな仕事でした。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

四隅の糸は飾りではなく役割がある。
四隅の糸は飾りではなく役割がある。
難しいものでも挑戦するということです。
25分の1の大きさで作るミニチュア掻い巻き、梅花型やダイヤ型の座布団を作れるのは市内では私だけだと思います。人がやらないことをやらせてもらうということが、私のひとつの技能です。
掻い巻きは、ミニチュアと言っても本格的な作りをしています。座布団も、変わった形でもお店に置いておけばニーズがあるんですね。
綿が寄らないように抑える働きをする。
綿が寄らないように抑える働きをする。
どんな場合でも、はり、はさみが布団の中に残らないように。お客さまを傷つけないように心がけています。基本的なことですが、重要です。
仕事部屋は布と綿であふれていますので、ストーブなどで火事を起こさないように、また、配達で交通事故を起こさないように、安全・安心は常に肝に銘じています。
こんな可愛らしい作品も、製法は本格的
こんな可愛らしい作品も、製法は本格的
25分の1大のミニチュア掻い巻き
25分の1大のミニチュア掻い巻き

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください

完成させられるということです。
綿を均一に入れるのは、簡単なようで意外と難しいものです。
座布団ならば真ん中の糸を持って持ち上げてみてください。平行にバランスを保てれば均等に入っている証拠です。
敷き布団ならば、お客さまの好みや体型、年齢に合わせて、綿の量を調整します。そうやって、お客さまに喜ばれるものを作ります。

かわさきマイスターに認定されて良かった点を教えて下さい

仕事が増えた点です。お客さまの信用が違うと思います。
また、技術者の友人が増えたから会話が楽しいですね。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

この道に進むには、器用さと粘り強さが必要です。
今の時代はお店で鍛えるのは大変です。練馬に寝具技能の学校があるので、そちらにいくのが手っ取り早いと思います。
後継者は現段階ではいません。組合の後継者の育成もやっていますが、なかなか続かなくて、難しさを感じています。
布団はなくならないでしょうけれども、量産もあり、布団屋の仕事は先細りになるかもしれません。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

なんでもいいから興味を持ってほしいです。
興味のないことをやらせても化けません。興味のあることは化けるんです。

最後にこれからの活動について教えてください

自分の仕事をしていきます。今までに作った数は何万枚か…見当がつきません。一通りみんながやらないことをやってきました。これからも粋のいいものを届けていきたいと思います。

どうもありがとうございました。
大きさも重量もある布団を作る作業は重労働です。それを苦にせず、生き生きと仕事を続けていらっしゃるのが印象的です。取材中に話が脱線して、寝起きから肩凝りを感じるという話になると、睡眠中に寝返りできる布団と枕を選ぶことが大事と、親身に相談に乗ってくださいました。

川崎市の技能者や職人の皆様を紹介する映像番組「The 職人魂」でも、紹介されました。

【問合せ先】  
ふとんのうつみ


■所在地      多摩区西生田2-1-26
■電話    044-954-2200
■FAX     044-933-7272
■営業時間  10:30~18:30
■休み    日・祝
■URL         http://futon-u.sakura.ne.jp
■e-mail      futon-u@abelia.ocn.ne.jp