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かわさきマイスター紹介

精密プラスチック金型製作   小池 忠雄さん

技量を磨いてくれた師匠はお客様、それと職場の仲間たちです。

小池さんはカメラや携帯電話などの筐体・部品となる精密プラスチック製品の金型を製作しています。ミクロン単位の精度からサブミクロン、ナノレベルの高精度かつ複雑な形状をした加工まで手掛ける金型作りの達人です。キサゲ、タガネ、ヤスリなどを駆使し、顕微鏡を見ながら仕上げ作業をします。図面を見て、それを反転させた形や完成品の姿をイメージしながら金型図面を構想して、超精密な金型を作ることを得意としています。
プロフィール
小池 忠雄さん
 
新潟県生まれ。昭和38年、地元の高校を卒業後、長津製作所に入社。以後、現在に至るまでの半世紀近くをプラスチック金型製作の専門技術者として歩む。かわさきマイスター平成18年度認定。
保土ヶ谷区在住。株式会社長津製作所勤務。

これは、小池さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

小池さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

フライス盤を操作する小池さん。新人時代から扱っている手馴れた機械です。<br>
フライス盤を操作する小池さん。新人時代から扱っている手馴れた機械です。
当社は昭和25年に創業者の長津明氏が東京都品川区でプラスチック用精密金型の製造を始めたのが始まりで、31年に株式会社長津製作所となりました。私が入社したのはその7年後ですが、私自身は普通高校の出身で技術とはまったく縁がありませんでした。ただ、子どもの頃から工作などが好きで、ものを作ることには興味を持っていました。長津製作所に就職したのは戦時中、創業者・長津氏のお姉さんが私の郷里・新潟県に疎開されていたという縁からです。入社した当初は精密金型のフライス盤グループに配属され、最初はほとんど見習いで先輩らに指導されながら金型づくりの技術を覚えました。人数が少なかったものですからフライス盤のほか旋盤や研削、調整、仕上げなど、いろいろな作業を覚え込んでやっているうちに、段々こなせる仕事の枠が広がっていきました。慣れもあったと思いますが、親方とか徒弟的な雰囲気はなかったです。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか?

金型のいろいろ。携帯電話やデジカメなど超精密な製品をつくり出す金型には、極めて高度な精度が求められます。<br>
金型のいろいろ。携帯電話やデジカメなど超精密な製品をつくり出す金型には、極めて高度な精度が求められます。
デジタルカメラやパソコン、携帯電話などのボディやパーツは現在、大半が精密プラスチック射出成形機で作られます。当社はその射出成形用の金型を製造しているわけですが、自分たちが手がけた金型から生まれた製品が商品として市場に出て、店頭などに並んでいるのを見た時は「ああ、これは自分が作った金型から作られたものだ」と喜びを感じますね。金型から作られる製品は通常は小型、精密品ですが、金型自体はカメラボディの場合で言うと縦横400㍉、重さ500㌔ぐらいはある大きなものになります。中には重さ1㌧くらいにもなる金型も珍しくありません。こうした大きな金型から超小型、超精密な機器が作られるわけですから、ものづくりととしてこんな面白い仕事はないと思います。
金型を出荷する前に社内でトライ機(試作機)にかけてテストすることがありますが、そんな時お客様から「これは出来がいいですね」と言われた時などもホッとすると同時に、「良かった」と思いますね。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?  (他の道に行こうと思わなかったですか?)

ユーザーの難しい注文をクリアしながら1つの金型を作り上げていきます。
ユーザーの難しい注文をクリアしながら1つの金型を作り上げていきます。
技能は、お客様の後押しがあればこそ向上するものです。金型が完成するとお客様のところでまず試作テスト(立ち会い)を行います。そこで、お客様から色々なご意見、ご注文が出ます。修正するような個所が出れば、その場で直すこともあります。そうしたお客様とのやり取りが結局、技能の研鑽にプラスしていくのです。結構難しい注文もあります。それを一つひとつクリアしていく努力の積み重ねが結局、スキルアップにつながっていきます。そういう意味では、お客様が技量を育ててくれたと言えます。技能を高めるために競い合ってきた職場の仲間も、言ってみれば師匠ですね。
また、携帯電話一つ取ってみても例えば構成部品が全部で100個あるとすれば、プラスチック金型で成型されるパーツは20~30個はあります。ものによってはそれを何十万、何百万個と生産しますから、予備を含め相当数の金型を用意しなければなりません。今はNC工作機という便利なものがありますが、私はプログラムを組むのに紙テープにパンチで穴を開けながらシステムを組んだ時代に育ちました。そうした手作りの技も今となってみれば貴重な財産となっています。お客様の工場に金型の工作機はありませんから、納品時に現場で臨機応変の手作業が必要になった場合に大変役立つわけです。

苦労したことはありますか?

金型の組み立て調整をする小池さん。熟練した技術を駆使し、超精密金型を作り上げる高度なスキルが高く評価されています。<br>
金型の組み立て調整をする小池さん。熟練した技術を駆使し、超精密金型を作り上げる高度なスキルが高く評価されています。
楽天的なのか、仕事で苦労したと思ったことは特にありません。1カ月に7~8種類の金型を作りますが仮に何かあっても、それにこだわっていたり、いつまでも引きずっていると前へ進まないので、次の新しい仕事に目を向け、そちらのほうのことを考えるという習慣を身に付けました。日頃気をつけているのは「なぜこうなるんだ」と常に考えながら仕事をすることです。なぜという疑問を持つためには、ある程度知っていないと駄目ですから、苦労する前にまず勉強。それがまた次のステップにつながっていきます。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください 

金型は機械加工品を組み立てれば完成というわけにはいきません。
金型は機械加工品を組み立てれば完成というわけにはいきません。
金型機械の最終組み立て調整です。機械装置を構成する各ユニットの製造は、NC工作機などの発展でミクロンとかサブミクロン単位というかなり微細・高精度な機械加工が可能になりましたが、最終的に1台の金型機に組み立てるには、そうしたNC機などから出てきた加工品をただ集結し組み込めばいいというものではなく、実働させるため人の手によるいろいろな調整加工が必要です。機械に微妙な削りを入れたり細かい段差の調整など、目視ではわからない個所を顕微鏡で見て作業することもあります。長い経験と技能を持ったベテランでないと務まらない仕事です。
金型は納品先によって種類が異なるうえ、たとえ同じメーカーからであってもモデルチェンジなどで同じ金型を受注することはめったにありません。現場で手掛ける金型は1品1品が違うわけですから、最終組み立て工程で応用力のある技量が求められのです。
顕微鏡を使って磨きをかけるなど金型細部の微調整を行います。<br>
顕微鏡を使って磨きをかけるなど金型細部の微調整を行います。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください。

名人の手先から金型づくり50年の技が発揮されます。<br>
名人の手先から金型づくり50年の技が発揮されます。
感性というか、自分が考え出したテーマに対し、たとえ完成に至らなくても自分自身納得できるまで作り続けることができる魅力です。そこであきらめてしまえば、それでお終いですし…。それと、誰かが作ったものであれば自分はそれに負けないものを作ってみるという挑戦的なことができる点ですね。一番大きいのは、やはり出来上がった品物に対する喜びです。それだけに、ものづくりは決して手を抜いてはいけません。できたらすぐ壊れるようなものを作ったら駄目です。お客様に長く使ってもらうことを大前提に、ものづくりをするのが原点です。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

精密プラスチック金型は大きく、重さは数百キログラムもあります。<br>
精密プラスチック金型は大きく、重さは数百キログラムもあります。
業界内では「すごいな」という評価をいただきましたが、金型の職人そのものが少ないため、その道のマイスターと言っても一般の人たちの認識は低いのではないかと思います。イベントに出るにしても大きな金型を持っていくわけにはいきませんし、アピールの仕方が難しいですね。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

「工場の現場で製作する金型は一品一品が異なります」と説明する小池さん。
「工場の現場で製作する金型は一品一品が異なります」と説明する小池さん。
現在、社員教育担当者として技能検定を受ける社内環境づくりを推進するオーガナイザー(まとめ役)の役割を果たしています。検定試験の問題を作る立場にありますので直接試験に関連する技術的なことを教えることはできませんが、日常的には日々の仕事を通して、いわゆるOJTで後進のスキルアップに役立つようなアドバイスを行っています。精密プラスチック金型製作の仕事に従事したいなら、やはり工業系の学校に行くとよいでしょう。長津製作所では、「ものづくり」のすばらしさがわかる人、「ものづくり」を楽しむことができる人、そして豊かな発想と創意工夫で「ものづくり」に取り組める人を求めています。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

サブミクロン精度の金型加工をサポートする高速・高性能の超精密立型加工機。ナノ単位の文字や記号を刻印できます。<br>
サブミクロン精度の金型加工をサポートする高速・高性能の超精密立型加工機。ナノ単位の文字や記号を刻印できます。
ものに興味を持って、それを長く続けることです。やり遂げるという努力の積み重ねが大事だと思います。お客様からはいろいろな注文が来ますが、難しいとか、できないといって途中であきらめないことです。負けず嫌いの性格も必要でしょうね。

最後にこれからの活動について教えてください

特別にこれといった目標はありませんが、いずれにしても、先ほど言ったようにものづくりの原点に沿って、現在の仕事を全うすることに尽きると思います。昨年(2009年)の10月から今年2月にかけて中国の合弁工場(江蘇省・無錫)へ金型設備のメンテナンスと現地スタッフの指導・教育のために行ってきましたが、これまでに培った私の技量が今後もいろいろな面で役立てば幸いです。

どうもありがとうございました。
「最大の師匠はお客様」という小池さん。精密金型製作一筋に約50年、プロの道を極めたきたその目は常にユーザーに向けられてきました。こうしたベテラン職人の努力が、あらゆる分野の顧客ニーズに対応する長津製作所の高い技術力を生み出す原動力になったといえます。
【問合せ先】  
株式会社長津製作所

■所在地   中原区中丸子57
■電話    044-433-8371
■FAX     044-433-8374
■営業時間  8:00~16:45             
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■HP          http://www.nagatsu.co.jp/
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