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かわさきマイスター紹介

調理師 小林 誠一さん

「飽きさせない味づくり」を身上とするフランス料理の巨匠

小林さんはホテルの総料理長として、調理の全てを管理し、レシピだけでなく独自の味付けを教えるなど、持っている技術は高く評価されています。かつてシンガポール、ポーランド両大使館に勤めながら料理の腕を磨き、帝国ホテルの村上シェフを師と仰いでいます。技能検定委員として社会的な活動にも積極的です。
プロフィール
小林 誠一さん
 
福島県生まれ。18歳で上京し昭和42年、料理の道へ。パシフィックホテル茅ケ崎、六本木・キャラバンサライ、シンガポール大使館、ポーランド大使館を経て数カ月間、ヨーロッパで研修した後、56年帰国。同年5月ローズホテル横浜開業と同時に入社し38歳で料理長、41歳で総料理長。平成8年から取締役、現在に至る。平成12年度かわさきマイスター認定。厚生労働大臣調理従事功労賞受賞。
多摩区在住。株式会社ローズホテルズ・インターナショナル取締役総料理長。
これは、小林さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

小林さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

かつて大使館付きの調理師としてシンガポール、ポーランドに在住。足掛け4年間にわたり本格的な西洋料理を学びました。
かつて大使館付きの調理師としてシンガポール、ポーランドに在住。足掛け4年間にわたり本格的な西洋料理を学びました。
18歳で上京し、親戚の紹介でパシフィックホテル茅ケ崎にコック見習いとして入社、そこで初めて料理と出会いました。もともと食べ物の仕事をしたいと思っていましたので、望み通りの進路でした。4年ほど勤めた頃、パシフィックの総支配人が当時六本木で名を馳せていた高級フランス料理店「キャラバンサライ」に移籍することになり、私も同行。そこで本格的なフランス料理を習いました。その頃、キャラバンには帝国ホテル経験の料理人が多数おり、師と仰ぐ村上信夫シェフと知り合ったのもこの店でした。そこに3年間ほどいまして26歳の時、シンガポール大使館付きの調理師として海外へ出ました。現地では仕事の傍ら英語も勉強しました。2年後、大使がポーランドに転任することになり、気に入られていた私もそのままついていくことになりました。ポーランドでも2年間在籍し、やめた後数カ月、各地で研修して56年5月に帰国。ムッシュ村上さんのところへ挨拶に行くと、ちょうどその頃オープンしたこのホテルの初代総料理長が帝国ホテルで同期だったことから、村上さんがこちらを紹介してくださり入社しました。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか?

食材をどのように工夫してアレンジしていくか、料理の面白さは尽きません。
食材をどのように工夫してアレンジしていくか、料理の面白さは尽きません。
新しい料理の創作ができることです。ファッションと同じで、食材をいかにアレンジしていくかに醍醐味を味わいます。基本をわきまえ現代風にアレンジしていくのが、調理師として腕の見せ所ですね。ヨーロッパにいた時感じたのは、当然かも知れませんが味のつけ方が日本とは違うということです。日本料理では素材をそのまま使いますが、フランス料理ではハーブやワイン、オリーブオイルに漬け込むなど、料理前にひと工夫し味付けも濃いということを学びました。しかし日本に帰ってからはやはり、味付けを薄くするなど日本人向けにアレンジした方が良いと気付きました。完全に調理するのではなく、味を一つ手前で仕上げるコツです。横浜の歴代市長が当ホテルのカレーライスを愛食されていますが、このカレーは正にその奥義を生かしたものです。開業から30年間、この基本レシピを変えていません。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?  (他の道に行こうと思わなかったですか?)

たくさんの職場を経験し、多くの優れた先輩たちに教えてもらったことが大きな支えになりました。
たくさんの職場を経験し、多くの優れた先輩たちに教えてもらったことが大きな支えになりました。
それは何と言っても、お客様に喜んでいただくためです。料理一筋だけでは視野が狭くなっていたかも知れませんが、大使館にいた時、大使や出向の外交官、あるいは諸外国の要人など、さまざまな方と出合ったことが物事を見る目を広げ、料理の技術に幅広さを与えてくれました。パシフィックホテルやキャラバンサライなど幾つかの職場を経験し、多くの著名な料理人と出合ったことも、私の技能研鑽に大きなプラスとなっています。特にパシフィックホテル茅ヶ崎の料理長だった島田元三郎さん、ローズホテル横浜開業時の総料理長・石渡忠雄さんの存在は忘れることができません。そしていちばんの恩人はやはり、帝国ホテルでフランス料理の一時代を築いた大御所・村上信夫シェフです。

苦労したことはありますか?

調理師はいろいろな面でお客様に気を配らなければなりません。そのために幅広く勉強し情報を集めます。
調理師はいろいろな面でお客様に気を配らなければなりません。そのために幅広く勉強し情報を集めます。
この仕事はお客様あってのものですから、いろいろな面で気を配らなければなりません。私の主義として、常連のお客様に対して同じ料理は出したくありません。特に、ご家族連れでおいでいただくお客様には、それぞれの年齢差を考えて調理したものをお出しするようにしています。何回来ていただいても、その都度「あ、こういう味もあるんだね」と新しい発見をしていただけるよう、飽きさせない工夫、前とは違う味付けを考えることに努めています。そのため自分なりにいろいろ研究し、情報を集めます。「この前と同じじゃないの」となってしまったら、自分自身も嫌気差しますからね。何回も楽しんでいただくためには、それなりの苦労が必要です。最後に「おいしかった」とお客様に言われるのがいちばんの慰めです。また、責任者として人を育てて適材適所に収めることも、それなりに苦労する難しい仕事だと言えます。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください 

得意のメニューは、あっさりとした味付けの煮込み料理です。季節感を大事にし、じっくり時間をかけて煮込みます。
得意のメニューは、あっさりとした味付けの煮込み料理です。季節感を大事にし、じっくり時間をかけて煮込みます。
あっさりとした味付けの煮込み料理が得意です。自慢のメニューは仔牛のクリーム煮込みきのこ添えです。当ホテルのレストランで多く出ている人気メニューは、真鯛のオリーブオイル焼きサフランソース、豚のグリルマスタード添え、アメリカンクラブハウスサンド煮込みなどです。料理は時間と研究が必要です。コツは、例えば鴨のあしを煮込む場合、タレに漬け込む時間は短くして、あとは4時間くらいかけてじっくりと煮込んでいきます。また、フランス料理はソース次第という通り、ソースには力を入れています。野菜のうまみを出すことにも気を使います。
もともと、フランス料理はバターとクリームによるこってりとした味が身上で、そのままでは日本人に重すぎます。だから大方のフランス料理店は日本人向けに何らかの味付けの工夫をしているはずです。時々、基本を知らないでアレンジする調理人がいますが、これはとんでもない味を作ってしまうことになりますので、基礎はしっかり持っていないと駄目です。煮込みにしろ焼き料理にしろ、食材が新鮮であれば美味しくなります。季節感を大事にし、手間をかけることを常に考えています。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください。

料理は主観的なもので、100人が全員おいしいと言うわけにはなかなかいきません。半分以上の方が美味しいと言ってくださるのを目標としていますが、まだまだ勉強が必要のようです。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

料理という形に残らないものを認定していただいたことに感謝しています。川崎市に料理専門学校や訓練校があれば、マイスターを輩出できる環境がもっと整うのではないでしょうか。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

匠が愛用するミートフォークと肉切りナイフ。調理場で名人の手によって、てきぱきと仕込み作業が進んでいきます。
匠が愛用するミートフォークと肉切りナイフ。調理場で名人の手によって、てきぱきと仕込み作業が進んでいきます。
この業界は一般的にいろいろ職場を渡り歩くシェフが多いですが、それも修行の一つですから私は縁があれば育てていきたいと思います。今の職場で言えば次長が立派に後を継いでくれると安心しています。昔のように「味を盗む」徒弟制度的なやり方は、今の若い人には通用しない古いやり方ですので私は好きではありません。ただ、教えていて怒ることもあります。しかし、これまでの経験で言いますと、なぜ怒られたのか分からない人がいます。なかには機嫌を損ねて、そのままぷいと辞めてしまう人もいます。性格にもよるでしょうが、人を育てるため教えるコツを掴むのが大事のようです。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

宴会場でテーブルのセッティングをする小林さん。総料理長としての細かい気配りが欠かせません。
宴会場でテーブルのセッティングをする小林さん。総料理長としての細かい気配りが欠かせません。
私がいつも心掛けていることは、味・安全安心・衛生面の3点です。飲食を提供する職業としてこれは当然のセオリーですから、これから調理師を目指す人は基本的な信念として心に刻み込んでおいて欲しいと思います。そして、技術的には先ほども言ったように、料理の基礎をきちんと覚えることが第一です。その意味では料理学校で勉強するのもよいでしょう。料理学校を出てレストランなどに就職するというのが、一般的なコースのようです。いずれにしても、ものづくりに携わる人間として技能を追求していく姿勢を持ち続けることが大事なのは言うまでもありません。また、料理は味づくりもさることながら、彩りや形を整え見た目にもおいしく演出する技能も必要ですから、当然、美的センスも求められるでしょう。

最後にこれからの活動について教えてください

給食のメニューづくりなど、学校や施設で食育のための料理教室を開きたいと思っています。以前、老人ホームを訪問し調理したら大変喜ばれ、後にホテルにお客様として見えられたことがありました。料理を通じて、こうした人と人のつながりを深められればと思っています。今は時間があれば海外に行っています。よその料理を見てみたいのです。3、4日もあれば充分で年に数回は出かけ、食べ歩きやワイナリーを見たり、美的センスを養っています。見て食べてくるだけで違うんですよ。

どうもありがとうございました。
小林さんは食育を通じて地域に恩返しをしたいということで、地元の小学校で児童たちが栽培した農産品などを使った給食メニューづくりなど料理の特別学習を提案しています。実現すれば、子どもたちはフランス料理に舌鼓を打ちながら、名シェフから食の大切さを学ぶことでしょう。
【問合せ先】  
ローズホテル横浜

■所在地      横浜市中区山下町77
■電話    045-681-3311
■FAX     045-681-5082
■休み    なし(年中無休)
■HP          http://www.rosehotelyokohama.com/
■e-mail      info@rosehotelyokohama.com