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かわさきマイスター紹介

刃物研ぎ・鋸目立て 石井一夫さん

新品より鋭く 切れ味を蘇らせる

 本日お話を伺ったのは、平成10年度にかわさきマイスターに認定された石井一夫さんです。石井さんは、鋸(のこぎり)を作る技術を持ち、目立て(鋸の刃を整えて切りやすくする)の第一人者でもあります。自宅で刃物店を営み、鋸の目立て、包丁・はさみ等の刃物研ぎ、合い鍵作りと、どれも熟練した技能でお客様に喜ばれています。
プロフィール
石井 一夫(いしい かずお)さん

川崎市多摩区生田で生まれ育つ。15歳から調布の製鋸所に入り、6年間修行を経て、23歳の頃に家業を継ぐ。昭和50年頃に目立ての最盛期を迎え、週に50本くらい扱っていたという。平成に入り替え刃式の鋸が普及したことで、目立てから刃物研ぎへと仕事の比重が移動。見事な切れ味を蘇らせる。50年来続けているという五反田節保存会の四代目会長を務める。
多摩区在住。二見屋鋸店経営。
これは、石井さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

石井さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

 ここ生田で生まれ育ち、父がこの場所で鋸店を経営していました。兄はサラリーマンで、私も中学卒業後に会社勤務しましたが、1年もしないうちに勤めることができなくなり、手に職をつけたほうがいいと考えました。
 それでこの世界に入りたいと、自分から親に言ったのです。自分から言い出したことなので、辛い修行も頑張ることができました。
 最初は仕事がなくて大変でしたが、結婚した27歳の頃から軌道に乗ってきました。鋸目立ての最盛期には、朝、「目立てできてるか?」と大工さんが必ずうちに寄ったものです。

やっていて一番面白いと感じることは何ですか?

 心をこめていい仕事をすることにやりがいを感じます。

 包丁ならスパッと気持ちよく切れること。のこぎりなら曲がらないように切れること。合い鍵ならスムーズに抜き差しと開け閉めができること。

 お客様が気に入ってお客様を呼んでくれる、そうやって口コミでいらっしゃるお客様も多く、感謝しています。
 また、研いだ包丁の切れ味がよくて感激したと伝え聞いたときは、本当にうれしく思いました。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか? (他の道に行こうと思わなかったですか?)

 この道が一番適していたから、ほかの道に行こうと思ったことはありません。お客さんに喜んでもらえる仕事ですから。
 とことん仕上げないと気が済まないから、包丁ならば柄の鋲(びょう)まで磨いてしまいます。だから自分が研いだ包丁は、次に見たときにもすぐにわかります。

苦労したことはありますか?

 包丁を研いだら、新品同様にきれいになったものだから「自分のじゃない」と言われたことがあって、それは困りましたね。
 だから注文を受けるときは、全部ノートに書き留めています。健康でいること、仕事の記録は書き留めること、それを心がけています。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

 鋸が作る技術があるからマイスターになれたと思っています。目立て屋は目立てだけしかできませんが、うちに持ってくれば、切り替え(刃を一度全部削って作り直すこと)もできますので、目立て屋からも頼まれます。
 道具を手作りすることもあります。鋸の目立て用に、水平に左右の高さをならす道具や、となりの目を傷つけないためのガード、これは手作りです。
替え刃鋸の目立てをするには、ダイヤモンドホイルやダイヤモンドやすりも使います。
手作りの道具でとなりの目を<br>傷つけないようにガード
手作りの道具でとなりの目を
傷つけないようにガード
目を左右に振ることで真っ直ぐに<br>切れるようになります
目を左右に振ることで真っ直ぐに
切れるようになります
 いまは割合としては、刃物研ぎのほうが多くなりました。包丁や刈り込みばさみ等、新品同様に研がないと気が済まないのです。週に50本は研いでいますね。
 サビを削り取り、磨き上げ、砥石で仕上げると、新品と違わぬようにピカピカになります。
 きれいに仕上げておけば、次のときに短時間で仕上げられるから、結局は自分のためになります。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください。

 お褒めのことばをもらえることがいちばんです。時には、お礼にとプレゼントをもらってしまうことも。
 いい仕事をしていれば、わかる人にはわかってもらえます。

かわさきマイスターに認定されて良かった点を教えて下さい

 いろいろなマイスターと友だちになることができました。その人たちの技術を参考にしながら、自分の技術も向上させることができます。自分ができないものは聞いて、工夫するのです。
 ただ、川崎市の担当者がよくかわるのは寂しいですね。やっと顔と名前を覚えたのにと。できれば長く担当してほしいです。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

 後継者はいません。包丁を使わない時代が来るかもしれない…と思うことがあります。
 以前は暮れに15~20本も売れた包丁が、今では4~5本しか売れません。仮に息子が継いでいたとしても、彼が年を重ねる頃には包丁がなくなっていたかもしれない。そう考えると複雑です。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

 この仕事は、根気と健康が大切です。根気よくやらないとできません。
 向上心を持って、健康で頑張ってください。

最後にこれからの活動について教えてください

 行事に参加したとき、結構知っている人がいて、こういう場にも出かけないとだめだなと思いました。遠いと足が遠のいてしまいますが、これからまた積極的に出かけていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。自分の技術に絶対的な誇りを持っていて、お話を伺っていても確固たるものが感じられました。
 恩人は?との問いに、「いつも健康に気を遣ってくれる女房かな」と、微笑みながら答えてくださったのは、とても印象的でした。
 お客さんがあってこそ、今の自分がある。その感謝の気持ちも大切にしていらっしゃるマイスターです。
【問合せ先】  
二見屋鋸店

■所在地      多摩区生田7-18-2
■電話    044-966-7043
■FAX     044-966-7043
■営業時間  8:30~19:00(祝日は17:00迄)
■休み    日